間近で船を見る機会もそんなに多くはないと思いますが、船ができるまでの工程は、日常生活の中ではまず目にすることはないと思います。
お客様と打ち合わせをして、設計をして、木型を造ってFRPを吹き付けて…と、海に浮かぶまでには実にたくさんの作業が行われているのです!

簡単な説明ですが、工程を紹介していきたいと思います。

こちらは船体に艤装(ぎそう)をしていく後編です!

 

艤装(ぎそう)

船に様々な設備や装備を加工していく作業を艤装といいます。聞き慣れない言葉ですし見慣れない漢字ですよね。エンジンや計器を取り付けたり、配管をしたり、船主さんの業種や作業の仕方によって必要な設備は異なりますし、使いやすさを考えた艤装をしていくのが、まさにオーダーメイドの船造りならではです。

 船主さんのこだわりが最も出て、造船所の腕が問われる作業工程です。

 

海上試運転

工事が完了したら海上試運転を行います。
ここで引き渡しの前に海上で実際に航行させて、予定通りの性能が出ているか、不具合が無いか等を確認します。


  

 

船に関わる神事

すっかり船が完成しました!

あとはこの船に魂を吹き込む“御神入れ”。神事ではありますが、神主さんなどを呼ぶわけではなく、造船所と船主さんとで行われるのが特徴です。「どうだ立派な船ができただろ!」という造船所の気合いと「理想通りだぜさすがだな!」という船主さんの信頼の取り交わしの儀式でもあると思っています。

そしていよいよ、海に浮かべてみんなに新船を披露する“進水式”。船主の関係者に仲間の漁業者や地域の方々、造船所のメンバーやエンジンの技術者など、完成した船に関わる多くの人が集まります。
日の丸や大漁旗を掲げ、大音量で演歌を流し、湾内を周遊したり自分の浜へお披露目に行ったり、塩や酒で船を清め、海の神様にお参りもします。

ちゃんと浮かぶだろうかとドキドキもしますが、とても晴れやかで感慨深い瞬間でもあります。




竣工とお引渡し

こうして船は完成、無事竣工となります。
わが子を送り出す気持ちで船主さんへ愛船をお引渡しします。
ていねいに造った船は、これから平均しても30年以上の長い間、船主さんたちに大事に使われることになります。

船が完成するまで、実に長い道のりでした!
そのうちメンテナンスで会う日まで、しっかりと漁師さんを守って立派に仕事するんだぞ〜!