第七日之出丸 船員 三浦智さん

「造船所は、わが子を診てくれるお医者さん」

南三陸町歌津でワカメとホヤの養殖業をしている養殖船で、父が船主なので今は手伝っているという感じですが、いずれは私が乗るのかな、と思っています。私の船は平成元年に志津川造船鉄工所で造ってもらったのでもう30年が経つのですが、震災で被災した際に大きくリフォームをしたので、まだ現役で動いています。今回は“スラスター”という、船を横移動させるための動力装置を新しくつけてもらっています。

造船所っていうのは漁師にとっては無くてはならないもので、漁師にとって船は仕事の道具ですけど、相棒というか、わが子のようなもので。子どもみたいに自分で名前つけますしね。わが子が調子悪ければ病院に連れて行くように、造船所も船のお医者さんなんです。

私もちょっとした機械の取り付けや改造は自分でやるんですが、やっぱり強度に関わる部分なんかはプロにお願いしなきゃいけないので、身近にこういう場所があることが嬉しいんです。

震災のときは船も被災して、1ヶ月半くらい経った頃にひっくり返って浮かんだ状態で見つかったんです。そのまま4ヶ月くらい浮かんだままで、引き上げてからも2年くらいは陸に置いてあって。造船所が復旧してなかったり順番待ちだったので。その間は小さな船外機で仕事していたんですが、造船所の復旧が本当に待ち遠しかったし、やっぱり特に造船所の重要性を感じましたね。

今はこれは父の船ですが、いずれ私が自分の船を持つ機会があれば、もちろん志津川造船鉄工所にお願いしたいと思ってます。船主の要求は多くて、やっぱり「安い・丈夫・速い・乗り心地が良い」がいちばんなんですけど、そういうこだわりや使い勝手を全部取り入れてくれるのが、寄り添い型の造船所の最大の魅力です。

第七日之出丸(4t養殖船)
船員 三浦智さん
ワカメ・ホヤの養殖業